前のあたしならこんな噂、気にしなかったんだろうな。



でも今はあたしがやってたことが最低なことだと気付いたからかなり胸に突き刺さる。



また一からやり直そうと思ってたのに、大丈夫なのかな。



あたしの意思が砕ける前に、彼女はあたしに手を差し伸べてくれる。



「…紗奈、おはよ」



上履きを下駄箱から取り出していると聞こえてきた声に、動きが止まる。



声が聞こえた方を見ると、そこにいたのはこんなあたしに手を差し伸べてくれた3人。



「…紗奈ちゃん、おはよ!」



「…おはよ……紗奈…」



他の人からどんなに悪口を言われたって、母親からどんなに残酷な言葉を言われたって、父親からどんなに避けられたって。



あたしには彼らがいる。
あたしがどんな悪いことをしてたって受け止めて正してくれる、彼らがいる。



彼らがいるから、あたしは真っ直ぐな正しいと思った道を歩むことができる。



彼らがいるからあたしは……



「…おはよ!」



笑顔でいられることができるんだ。



【side end】