パシンッ
頬を思いっきり叩かれる音が、病室に響いた。
「……あ、綾女…?」
私の背後にいた綾女が前に出て来て、北村さんに平手打ちをした。
点滴は取れてなくて良かったけど、それよりも綾女が体を震わせて俯いているのが気になる。
……これは本気で怒ってる。
「………ざ……よ……」
北村さんは目を見開いたまま、綾女を見た。
すると綾女はベッドに膝を乗せ、北村さんの着てる病衣を掴んだ。
「……ふざけんなよ!
李がどんな思いであなたを助けたと思ってるの!?
救急車が来るまでずっと北村さんの名前呼んで、手首を止血して、必死に助けようとしたんだよ!?
それを助けてなんて頼んでない?馬鹿なこと言わないでよ!!」
「ちょっと、綾女!?」
綾女の言い方が癪に障ったのか、北村さんの表情が鋭くなった。
「…ふざけてるのはどっちよ。
あんた達の思いなんて知らないし、知りたくもないんだよ……!
あたしなんて生きてる価値ないんだから、おとなしく死なせてくれれば良かったじゃない…!」
綾女に負けじと北村さんは綾女を睨む。
綾女はまた北村さんに平手打ちをしようとしていたが、尾口先輩が手を掴んで止めに入った。
「そうやって1人で死んで、後に残った人の傷はどうするつもりなわけ!?
あなたが死んだら悲しむ人の気持ち、考えたことあるの!?」
尾口先輩に止められててもそれでも綾女は北村さんに殴りかかろうとしてる。
本気で怒った綾女を止められてるだけ、尾口先輩はすごいと思う。



