「…駆けつけた時、篠山さんが圧迫止血をしていたのを見て感激したと。
手に血液がつかないように、ビニール袋までつけてたと聞きました」
「あ、あれはたまたま見てたテレビでやってて……ま、真似しただけです」
結局血は膝についてしまったけど。
「…テレビで見ていても普通、あんなに大量の血を見たらそんな冷静に対処出来ませんよ。
きっと助けたい一心で咄嗟にした行動なんでしょうね」
そんなことまで分かってしまうなんて。
恥ずかしくなって、俯く。
私の頬が赤いからか、根元さんはクスッと笑った。
消毒が終わると、根元さんは両手で私の手をギュッと握った。
「……かけがえのない命を助けてくれて、ありがとう」
この言葉でどれだけ私の心を暖かさで満たしてくれたか、根元さんには分からないだろう。
でもすごくこの言葉を言ってくれて嬉しかった。
必死になって助けて良かったと思った。
そして最後にはボソッと。
「……弟とも仲良くしてくださいね?」
え?弟?
ポカンと口を開ける私を見て、根元さんはクスクス笑った。
「…私は根元 美鈴(ねもと みすず)。弟は根元 時雨です」
え、え!?
あの警察官の根元さんはこの看護師の根元さんの弟!?
世界は狭いなと思った瞬間だった。



