「…綾女!救急車呼んで!!早く!」



私が叫ぶと、固まっていた綾女は慌ててスマホを取り出して電話をかけた。



北村さんの部屋にあったコンビニの袋を取り、手にはめる。



「…斎賀くんどいて!!」



斎賀くんにどいてもらい、血のついたカーペットに膝をつく。



そしてコンビニの袋をつけた手でハンカチを持ち、北村さんの左手首の傷口にあてる。



北村さんの腕を心臓よりも上に挙げる。



前にテレビでチラッと見た、緊急の止血方法がこんな風に役立つなんて思わなかった。



傷口を両手で力強く挟み込む。



「……北村さん!しっかりして!北村さん!!」



ダメだよ、こんなとこで死んじゃ。



自ら命を絶つなんて、一番やっちゃいけない。



死なせない。



絶対に北村さんを死なせないから……!



私は救急車が来るまでずっと北村さんを呼び続けた。