無言で北村さんの家へと向かう斎賀くんの後をついて行く。
途中聞いた話だけど、北村さんのお父さんは小規模会社の社長らしく、ちょっとした富豪らしい。
アメリカ人のお母さんは事故で北村さんが赤ちゃんの時に亡くなり、今は違うお母さんと暮らしている。
そのお母さんに嫌みや酷い言葉を言われているという。
今の北村さんがその言葉を聞いたら、ちょっと危ないかもしれない。
考えながら歩いていたから、斎賀くんが立ち止まったことに気付かず、斎賀くんの背中にぶつかる。
そして私の背中に綾女がぶつかった。
「さ、斎賀くん…止まるなら止まるって言ってよ……」
鼻を押さえながら斎賀くんを見る。
斎賀くんは私を見ず、真っ直ぐに綾女を見ていた。
「……栗丘……さん」
「…え、あ、はい?」
綾女も私同様に鼻を押さえていたけど、真剣な斎賀くんに背筋を伸ばした。
斎賀くんはしばらくジッと綾女を見つめて、やがて頭を下げた。



