そのまま私の横を通り過ぎると思ってたけど、武井先輩は私の前で止まった。
「…おい、一つだんご虫に教えといてやるよ」
武井先輩は腕を組みふっと笑っていたが私に顔を近付けた瞬間、目つきが鋭くなった。
「……困ってる人全員、助けられると思うなよ?
アンタが思ってる以上に人の闇ってのは深いんだよ。
それが分かったらもうあたしらに構うな」
武井先輩は私をジッと睨むと、フンと顔を逸らし屋上から出て行った。
武井先輩はきっと助けられない人だっているって言いたいんでしょ?
そんなの分かってる。
分かってるからこそ、諦めたくない。
私は急いで屋上を出た。
そして階段を下りている武井先輩達を見下ろす。
「あなた達の闇がどんなに深くても、私は必ずあなた達に光を当ててみせる…!
助けると一度決めたら、私は最後まで諦めない!」
だって助けられないって分かってて諦めたら、意味がないでしょ?
助けられないと分かっているのなら、諦めない。
あなた達が諦めずに闇と戦ってるのなら、私も諦めずにあなた達と戦う。
武井先輩達は私の言葉に何の反応も示すことなく、階段を下りて去っていった。
ヒーローは必ず悪に勝てる訳じゃない。
でも悪に勝つまで立ち向かうのが、ヒーローなんだ。
私は胸に手を当てて先輩達と北村さんを必ず助けることを決意した。



