休み明け。



私はいつもより2時間以上早く学校に来た。



夕里から貰った指輪を握って、深呼吸すると校門をくぐる。



下駄箱に着くと予想してた光景が広がっていた。



壁の所々に貼られた紙。
そこに書かれているのは綾女の過去と綾女の写真。



……やっぱり。



武井先輩達を呼び出してから、こうなるとは予想してた。



頭のいい、そして悪さの好きな先輩達のことだから、休日に学校に忍び込んで校舎中に貼り付けてるはず。



私は急いで靴を履き替え、紙を剥がしていく。



生徒達が登校してくる前にこの紙全部を剥がす。



これは絶対に私以外に見られてはいけない。



「…私が綾女を、綾女の未来を守るんだ」



小声で決意すると、猛ダッシュで壁に貼られた紙を剥がす。



夕里も手伝うって言ってくれたけど、この紙は夕里にも見せられないな、きっと。



例え夕里が誰にも言わなかったとしても、綾女の過去を知るのは避けられない。



それで傷つくのは綾女なんだ。