【side 夕里】



驚いた。



帰ろうとして廊下の曲がり角を曲がったら、急いでいた誰かとぶつかってしまった。



よく見るとその子は李の友達の栗丘さんだった。



すごく慌てている。
息も荒くてずっと走ってきたのだと分かる。



そして何より驚いたのが、涙で顔が濡れていたこと。



もしかしてぶつかったのがかなり痛かったのかも。



「…え、ご、ごめん!そんなに痛かった!?」



俺は慌ててに栗丘さんの濡れた頬に手を伸ばした。



李の友達をこんなに泣かせてしまった。
後で李に怒られるかな。



そんなことを考えていると栗丘さんが俺の手をかわして肩を掴まれた。



俺の手をとらなかった女子は李と栗丘さんくらいかもしれない。