すると綾女は私から体を離して、次に私を真っ直ぐに見た。
「…李も先輩が避けるようになってから、すごくたくさん悩んで、傷ついたよね。
それはもとはといえば私が先輩に言ったから。
だから李を傷つけたのは私も同然。
本当にごめんなさい。謝っても許してもらえないのは分かってる」
でも謝らせて。
綾女は私の方にも深く頭を下げてきた。
確かに先輩が私を避けてきた時は傷ついたし、どうしてって思った。
でもね?
「…私、綾女が何かに悩んでるの分かってた。
それなのに綾女が言うまでは待ってようって、無理に聞こうとしなかった。
私がどうしたの?って綾女に聞いていれば、綾女もこんなに苦しい思いしなくて済んだのに。
だからそんなに謝らないで。すぐに聞かなかった私も悪いから、これでおあいこ…ね?」
綾女の両手を包み込むように握って、綾女を見る。
綾女は目を丸くして私を見つめてた。
その目は潤んでいたけど、綾女は絶対に涙を流さなかった。
「…ごめんね…!ありがとう、ありがとう…李」
力一杯目を閉じて、涙を堪える綾女。
自分のせいでこうなったから、泣いたら同情を誘うかもって思って泣くわけにはいかないって堪えてるんだよね?
涙が出るのなら素直に泣いていいのに。
私はそれを同情を誘う涙だなんて思わないのに。
それでも必死に涙を堪えている綾女を見ると、強くなったなって思う。
中学の時よりもずっと。



