【side 綾女】



夢を見た。



李が元気になって、笑顔で私の名前を呼ぶ夢。



『綾女、ただいま』って言って私に笑顔を見せて、手を握ってくるの。



…あれ、誰かの温もりが私の手に感じる。



「……すもも…?」



ゆっくりと目を開けると、白い天井が見えた。



私はベッドに寝かされていて、ベッドの周りを白いカーテンで仕切ってある。



……ここは、保健室?



天井を見ながら何があったのかを思い出す。



そうだ。
私、芹田先輩に助けを求めて、李の家の地図を描いたら寝ちゃったんだ。



あんまり寝ないでずっと李の傍についてたから。



寝て覚めたら、李がいなくなっちゃうんじゃないかって不安で眠れなかった。



ふと右側に上下に動く何かが視界に入る。



ゆっくりと顔を右側に向けると、尾口先輩がコックリコックリと体を上下に揺らして眠っていた。



先輩の両手は、私の右手を包み込むようにして握られていた。



…もしかして、ずっと傍にいてくれたの?



起き上がって先輩を見つめる。
先輩は上下に揺れてまだ眠ってる。