だいすき。
彼方が最後に言ったこの言葉が頭から離れない。
彼方が亡くなった後、おばさんから話を聞いた。
彼方は元々短命だったこと、あの治療は完治させるものではなく、腫瘍を縮小させるための治療だったこと。
そしてあの時点で彼方の体はもう、限界まできていたということ。
それなのに彼方は私の前では明るく、元気に振る舞っていた。
なんで私の前で無理して笑ってたの。
私の前だからこそ、無理せずに弱いところを見せて欲しかった。
私に頼って欲しかった……
今さらそんなこと思ったって、彼方はいないんだから意味ない。
彼方がいなくなった瞬間に、私の世界は空っぽになった。
彼方と交わした約束も、彼方と過ごした日々も消えてなくなってしまった。
今の私には何もない。
彼方が亡くなって一週間、私は生きた屍のように過ごしてた。