「…思い返すとさ、俺ってほんと単純な男だなって思うんだけど。
女関係にめんどくさくなって何もかもどうでもよくなった時、遠くから綾女が李ちゃんと話して笑顔を見せてたんだ。
その笑顔を見てすぐに思ったのは、無理して笑ってるってことだった。
どうして無理して笑ってたんだろうって考えたけど、オレ馬鹿だから分からなくて。
分からないなら実際関わって見ればいいじゃんってなって綾女ちゃんに声かけて、関わってたらいつの間にか好きになってた」
そういえば航平が二股疑惑を当時の彼女に疑われて、無実だと言ってるのに理解してくれなくて苛立ってた時期があったな。
あの時の航平はチャラかった。
関わってたら好きになったって自然の摂理のように感じるけど、よくよく考えればただ単純なだけな気がするのは俺だけだろうか。
……単純だな航平も、俺も。
航平は綾女ちゃんを見つめたまま、言葉を続ける。
「今思えばあの時の綾女の笑顔は、李ちゃんに迷惑かけないようにしてたのかもな。
ただでさえ李ちゃんは人助けをしている。
それなのに自分のことで心配かけたくない、そう考えてたのかもな。
いや、今もこうして自分のことをそっちのけで李ちゃんのことを見てたんだから、今もそう考えてるよな」
確かに綾女ちゃんはそういうところがある気がする。
綾女ちゃんは李と似て、自分のことを犠牲にしてまでも李に尽くすって感じだからな。
類は友を呼ぶってまさにこのことだな。
俺と航平もチャラ男という似た者同士だし。



