非常階段の出入り口のドアを見る。
そこにはドアに靴を挟んであり、誰かがいることが一目瞭然。
「…盗み聞きなんて悪趣味だな、航平」
綾女ちゃんを起こさないようにして声を出すと、両手を挙げてやって来たのは航平だった。
降参したって、始めから盗み聞きしてたの分かってたんだからな。
大方、正門前で俺と話してる綾女ちゃんを見かけてついてきたんだろう。
「人聞きの悪いこと言うなよな。
たまたまこの辺を通りかかっただけだって」
「…この辺は生徒が全く立ち入らないのにか?」
追い討ちをかけると、航平はお手上げというように肩を竦めた。
航平はすぐに目線を綾女ちゃんに向けた。
俺に寄りかかってるのが気に食わなさそうな顔してるな。
「…綾女ちゃん、李にずっとつきっきりでついてたから疲れて寝ちゃったんだ。
だから保健室に連れてってやってくれ。
俺はこれから李のところに行かなくちゃいけない」
綾女ちゃんを自分から引き離して航平を見る。
航平はコンクリートに膝をついて綾女ちゃんを自分のとこへ引き寄せると、そのままギュッと抱き締めた。
「…俺にも頼れよ、綾女…」
相当好きなんだな、綾女ちゃんのこと。
俺も人のこと言えないけど。
そういえば聞いたことなかったな。
「…お前はどうやって綾女ちゃんを好きになったんだ?」
実は密かに気になってたけど、今まで色々あって聞いてなかったこと。
ずっと航平と一緒にいて航平のことはほとんど知ってるけど、このことだけは知らないな。
航平は自分に寄りかかる綾女ちゃんを慈しむような目で見つめ、綾女ちゃんの髪をすく。



