「…李に近付かないでって言っといて…こんなこと言うのは変だって…分かってます……
でも私には李が何より大切だから…!
私を救ってくれた、李だけが私の道しるべなんです……!だから……」
バッと音が聞こえそうなくらいに綾女ちゃんは勢いよく顔を上げた。
鼻先が赤くなり、涙で顔はグシャグシャになっている。
そんな綾女ちゃんは神に縋りつくようにして、俺に訴える。
「…李のこと助けて!
私のことはもうどうなってもいいから…李だけは……李だけ……は…」
自分のことはどうなってもいいって言うのは気になったけど、今はそれどころじゃないみたいだ。
前にもあったな、この光景。
紗奈がいじめられてるのを知って、李が助けに走った時のことを思い出す。
あの時もこうして綾女ちゃんは俺に縋りついて助けを求めてきたっけ。
李にとって彼が生きる意味だったように、綾女ちゃんにとっての生きる意味は李なんだ。
こんなにも綾女ちゃんに大切にされて、ちょっと嫉妬しちゃうな。
カーディガンのポケットからハンカチを取り出して、綾女ちゃんの涙を拭ってあげる。
綾女ちゃんは落ち着いてきたのか、涙が止まってきた。
「…大丈夫。
李は必ず俺が助けるよ。
例え綾女ちゃんが李に近付かないでって言っても、俺は李の近くにいくから」
そういう男なんだ、俺は。



