それは突然、私に襲いかかってきた。



嵐のようにやってきては、私の心に傷をつけていった。



私が悲しむ間も与えず、嵐は私の目を濡らし遠ざかって行った。



見えないほど遠い、彼方へと………







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6時限目の授業終了のチャイムが教室に鳴り響く。



今日も長かった。



嫌いな授業を聞いてるくらいなら、サボって彼方のとこにいたい。
サボると彼方に怒られるから我慢してるけど。



しかも今日はよりによって一番嫌いな数学が最後の授業だった。



ほとんど寝てたも同然。



でもこれで授業も終わったし、彼方のところへ行ける。



そう思うだけで嫌な授業だって乗り越えられたんだから。



ご褒美は彼方とのお話し、かな?



なんてことを思いながらふふっと1人で笑ってしまう。



「…わ、李が1人でニヤけてるよ〜。怖い怖い」



声が聞こえてそっちを向けば、綾女が掃除ロッカーに隠れて私を見てた。