「…確かに先輩に冷たくされた時は、謝らなきゃって思った。
何か先輩にいけないことした覚えなんてないのに、先輩が離れていってしまって虚しかったから。


でも今、あの頃に戻ろうなんて思わない。
先輩と寄りを戻そうとか考えずに今日まで過ごしてた。
先輩からも何も言ってこないし、先輩のこと気にしてる暇はないくらい、今は彼方でいっぱいなの」



だから、もういいんだ。



先輩と過ごしたあの時間は私の宝物。



先輩が私を助けてくれたあの瞬間は私の心の支え。



胸の奥底に残しておけば、いつでもそこに先輩がいるようで。



私はそれだけで十分。



前はどこか先輩に頼ってたところがあった。



先輩が来て、助けてくれるんじゃないかって期待してたところがあった。



でももう、その先輩は私の傍にはいない。



私の傍には彼方がいる。



先輩が私を助けてくれたように、私は彼方を支えて助ける。



それでいいんだ。



これで……いいん、だよね?



私の考え、間違ってないよね?



先輩のこと胸の奥底にしまって、私が彼方を守る。



私の生き方は間違ってないんだよね?



私の生き方を正す人がいない。



だから自分が間違ってるとか、正しいとか分からないの。



ねぇ、先輩。
先輩ならこの私の生き方を正しいと思ってくれますか?



それとも間違ってるって言って、正してくれますか?



先輩を胸の奥底にしまっておくって決めたのに、先輩のことが離れない。



先輩のことになると、私の頭の中は矛盾してしまう。