「…先輩もきっといつかは俺みたいに諦めないって思うよ」



え、余計に意味が分からない。



彼方みたいに諦めないで奪うってことでしょ?



そもそも何を諦めずに奪おうとするのかが分からない。



根本的なことについてのヒントをくれないと、正解には辿り着かない。



「…そっか、先輩が……ね〜」



一生懸命考えてる私を他所に、彼方は独り言を言ってクスクスと笑っている。



これじゃ、考えるのに集中出来ない!



私はまた彼方に背を向けて、彼方のヒントを頼りに先輩の気持ちを考えた。



私が考えているのにをお構いなしに、彼方は笑ってなんだか喜んでいるみたい。



…うぅ、集中出来ない……



絶対彼方、私が集中しようとしてるのをわざと邪魔してる。


私は彼方に負けないように耳を塞いで、集中する。



…耳を塞いだせいだ。



そのせいで私には聞こえなかった。



「…これで安心できる………」



彼方が微笑んで私の背中を見つめ、こう言ったことに。