よく考えると私、先輩に全然お礼のようなことしてない。
プレゼントあげたり、手作りのお菓子とかあげたり、お礼になるようなこと一つもしてない。
唯一したことといえば、名前を呼んだことくらい。
どうすればいいのか分からない。
「………はぁ……」
無意識についてしまった、ため息。
ここが彼方の病室だということを忘れて。
「…もも?どうしたの?」
買ってきた花を花瓶に入れながらついたため息に彼方が気付き、本を読む手を止めた。
窓越しから、彼方がこっちを見てるのが分かった。
いつの間にため息が出てたんだろう。
彼方はただでさえ治療を行う日が近付いてて不安なのに、私がため息をついて余計不安にさせてしまう。
治療する日まで、私が彼方の気持ちを楽にしてあげようって決めてたのに。
私が余計不安にさせてどうするんだ。
「…え、ううん!何でもないよ?」
彼方の方を向いて笑顔を見せる。