バイトと言えば、最近毎日のように尾口先輩が私のバイト先の喫茶店にやって来てる。



こうなったのは、私が夏に先輩を振ってから。



『綾女ちゃんが好きだ』



シンプルにそう言われた。



『チャラ男2号は危ないから気を付けて』



と李にずっと言われてたけど、チャラい割にはすごく純粋な目をしていて。



その純粋さに惹き込まれそうになった。



でも私には先輩の純粋さが眩しくて、受け取れそうになかった。



だって私の中には純粋さなんて、持ち合わせてないもの。



先輩は綺麗な私を好きだと言った。



でも私は他人が思ってるほど、綺麗じゃない。



あの告白だけなら良かったのに、先輩は更にしつこく私につきまとうから、私は平手打ちをお見舞いした。



それで夏休み明けから、先輩は喫茶店に来るようになった。



先輩は何をする訳でもなく、ニコニコしながら働く私を見てる。



正直不気味。