「…それで、どうするの?お願いしてくれれば教えるけど?」



「…わっ!」



考え事をしててふと我に返ったら、先輩の顔が目の前にあった。



慌ててイスから立ち上がって、先輩と距離をとる。



だって今にもキスされそうなくらい近かったから。



実際に先輩の吐息が鼻にかかってたし…ってなんで先輩にキスされそうって思ってるんだ!?



そんなことあるわけないのに!



先輩の顔が近かったことで、なぜか動揺して半分パニック状態になっている自分がいた。



半分パニック状態になりながらも先輩を見ると、先輩は私のこの反応を予想してたのか、ニッコリと笑ってる。



…はぁ、もう負けだ。



「…あー、もう分かりました!私に数学教えてください!お願いします!」



納得いかないことをアピールするために、口を尖らせて顔を逸らした。



でも先輩はなんでか知らないけど、嬉しそうに笑ってる。



変人だ、この人。



私は教科書やスマホをカバンの中にいれた。



この時私は気付かなかった。



スマホをカバンにいれた途端に、スマホの画面が光ってメールが来たことに。



もしメールに気付いていれば、先輩との勉強会を断ってでもあなたに会いに行ったのに……



私はメール受信のランプが光ってるスマホをそのままにして、先輩と教室を出た。