何故ならさっきの服装と髪型とは違っていたから。



「…どう?似合ってるでしょ?」



綾女は白を基調として柄は色とりどりの花火がぱぁっと開いている浴衣を身に纏っている。



黒髪も上でまとめてある。
いつもの綾女とはまた違った大人な綾女。



「…うん、似合ってるよ。
でもどうしたの?浴衣なんて持ってこなかったよね?」



これは海の家のお手伝いとして海に来てるわけであって、浴衣を着る機会なんてない。



いくら用意周到な綾女でも浴衣は持ってきてないはず。
荷物はたくさんあったけど。



「…私の家にあったのを貸したんだよ」



後ろから声が聞こえて、その方を向けば真智子さんが微笑んでやってきた。



真智子さんの家にこんな綺麗な浴衣があるんだ。



浴衣なんて着る機会めったにないから、何気に綾女が羨ましい。