拓に引きずられるようにロビーに連れてこられ、観念して大人しく椅子に座った。

…と言うより、喋る余裕もなくなってた。


俯いたまま何も喋らない私に、いきなりデコピンをしてきた拓。

『痛ッッ!何すんの!』

突然の痛みに思わず顔を上げ拓を睨みつける。

拓はいつもと違う真剣な顔で私を見据えていた。


『海奏がそんなんやからやろ!しっかりしろて!大丈夫やから、落ち着いて?なっ?』


私の肩を掴んで優しく笑う拓を見て、何も言わずに頷く。

ちょうどその時に授業開始のチャイムが鳴り響いた。