「……海咲、さんは。」


はるかは名前を呼ぶことに少し躊躇しながらも、海咲にそう呼びかけた。


「海咲でいいよ?」


海咲はそう言うと、笑って「僕は、はるかサンって呼ぶけどね?」と続けて言った。


はるかは首を傾げた。

海咲は恐らく二十代前半くらいで、大学生ぐらいだとはるかには見えた。

それなのに、何故さん付けなのだろうかと、そう疑問に思ったのだった。



「癖、みたいなものなんだ。ってことにしておいてくれないかな?」



海咲は曖昧に、また誤魔化すように苦笑してそう言った。

はるかは小さく頷いた。

気にならないわけではなかった。けれどはるかは、それ以上は深く追究しようとはしなかった。