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「どうして、私の名前、知ってるの?」



はるかはゆっくりと、横に座る海咲に問いかけた。

暑い並木道の片隅に並ぶベンチの中、二人は日影のある物を選び腰掛けたのだった。

それから約五分程だろうか、お互いに何から言葉にすればいいのか分からない気まずい沈黙が流れた。


それをはるかが、今まさに壊したのだった。


「秘密、かな。」



海咲は誤魔化すようにそういって苦笑いを浮かべた。


「こんなんだと、ますます怖がられるかな。怪しい者じゃないんだよ、なんて信じられるわけないもんね。」



海咲は膝で肘を支えて顔の前で手を合わせると、また困ったように笑っていった。


はるかは「別に。」と首を小さく横に振った。

確かに海咲は怪しくないと言えば嘘になる存在だった。

それは誰がどう見てもそうで。きっとこうやって話をすること自体が常識的にはありえないことなのだろうと、はるかは分かっていた。


それでもはるかは、海咲と話をしてみたいと、そう思った。