紅の蝶【完】






『……とぉ…うや…さん…?』




「どうかしたか?」





目が覚めると暖かい東屋さんの腕の中だった。




下から見る東屋さんの瞳はとてつもなく綺麗だ。





こんなにぐっすり寝たのは何年ぶりだろうか。



「……華音……」



東屋さんが私の名前を呼ぶ。




その一言も私の胸を軽くさせる。



だけどまだ私はこの感情を知らない。