紅の蝶【完】








『…………お話は伺いましたわ。売り払いましょう。この家も、ピアノもバイオリンもクラリネットも。』





上重以外の人間と話したのは何年ぶりだろ。





『……全て売れば余裕で借金も家賃も払えるでしょう。』





「し、しかしお嬢様っ!!」




男2人は何も言わず立っていた。




『あの人のことです。そうでもしないと気がすまないのでしょう………それから上重…………………』





「……はい。」