ー広瀬くるみー

「美紀ちゃん!いる?」

っと私は言いながら、保健室のドアをガラッと開けた。

「あれ?くるみちゃん?どうしたの?」

「いや・・・暇つぶし!」

「あーそっか。って授業は?!」

「知ーらーなーいー」

美紀ちゃんとは保健室の先生だ。

本名・・・小野寺美紀。

美紀ちゃんには、色々と相談に乗ってもらったりしている。

私のたった1人の友達?だ。

「てか・・・。授業行きなさいっ!」

「えー。受けても意味ないじゃん。サボル♥」

「サボりなんてするんじゃないのっ!」

その瞬間、私の頭の上にげんこつが飛んできた。

「いった・・・。美紀ちゃん酷いっ!これでも保健の先生かっ!」

「サボりしてるのが悪いんでしょっ」

ムゥ・・・。美紀ちゃんの意地悪。

私が拗ねていると、ドアがガラッと開いた。

「センセー助けてっ!」

「何?どうしたの?久我君!」

このまっ茶髪・・・。久我って言うんだ。

全然知らない。

「これ・・・。見て」

って男子なのに目が涙ぐんでる。

綺麗な瞳だなぁ~。すいこまれそう。

「うっわっ?!何この血?!」

「いやぁ~。キャッチボールしてて、ボールが窓ガラスにガシャンってぶつかっちゃって」

キャッチボールでそこらへんにいるガキ共みたいっ。

「んで、そのボール握ったら、ガラスの破片がついてて切っちゃったの」

「んもぉ~。馬鹿みたいに校舎の中でキャッチボールなんてしてるからでしょっ!」

「だって・・・」

「言い訳は聞きたくないから、さっさと手当しましょーか」

美紀ちゃんはササッとガーゼ、包帯と手短に手当を済ませた。

「センセー!あんがとっ!」

「はいはい。今度からはキャッチボールなんてするんじゃないかんねっ?キャッチボールしたいなら野球部にでも入部するのをすすめるよ!」

「ううっ・・・。はい」

なんか喜怒哀楽激しくて、面白いなぁ。

なんかキャンキャン騒いでる子犬みたい。

「って振り魔じゃん?!」

え?今頃お気づきですか?私ってそんなに影薄いのか。

「あっどーも振り魔ですっ」

「もう!振り魔って久我君!そんなこと言っちゃダメでしょ?!くるみちゃんも認めちゃダメっ!」

えー。認めちゃダメっ!って言われても・・・。認めるしかないんですけど。

「そーだ。オレ久我星矢っていうから。星矢って読んでね♪」

は?馴れ馴れしすぎる。馴れ馴れしいのが1番嫌い・・・。

「・・・・・・」

「ヤンキーやってますっ!」

・・・・?ヤンキー?

「えっ?アンタヤンキーなの?」

「オレけっこー有名だよっ?知らない人なんていないよ?」

知らなかった人ここにいますよー。

まわりの人とか全然見てなかったからなぁ。

確かに言われてみれば・・・髪はまっ茶色で、めっちゃツンツン立ってて、顔は・・・あれっ?そんなに怖くない。

「久我君!ヤンキーヤンキーって言わないのっ!」

「テへッ☆彡」

てか本当にヤンキーなの?

まぁどうでもいいんだけどさ。

「あのさ、振り魔!メアド教えてくんないかな?」

・・・メアド?

「先生。私もう帰るねっ!本当に体調悪くなってきたから」

「うん。分かったよ。気をつけて帰ってね!」

私は久我の質問?を無視して保健室から抜け出した。


ー久我星矢ー

「行っちゃった・・・」

もっと話したかったのになぁ~。

「そんなに、くるみちゃんのこと気になる?」

すげーな。美紀ちゃん。なんでもお見通しなのか。

「まぁな」

「まぁしょうがないよっ!くるみちゃんは色々あったからね」

「色々?」

「そうだよ」

そのあと美紀ちゃんにオレは聞いたが・・・美紀ちゃんは答えてはくれなかった。

くるみちゃんの過去には何があったのだろう。