慌てて駆け寄ろうとして立ち上がった瞬間、晴海は後頭部に鈍い痛みを感じて地面にへたり込んだ。

「いっ……!」

慶夜に弾き飛ばされた際に頭を打ったらしい。

先程までは痛みを感じている余裕すらなかったが、気が緩んだ瞬間遅れて痛みが襲ってきた。

それでも何とか陸の傍へ這い寄り、俯せに倒れた陸の上体を助け起こす。

「…はる…大丈夫、か」

意識が朦朧としているのか陸は虚ろな眼で、それでも心配そうにこちらを見つめていた。

左腕の傷からは血が止まらず、右腕も酷く焼け爛れている。

よく見えないが、両足にも同じくらい重篤な火傷を負っている筈だ。

「酷い、怪我……はやく止血、しなきゃ…」

晴海は覚束ない手付きで、陸の身体を抱き抱えようとした。

溢れ出る血が、二人の衣服と地面を紅く染めてゆく。

「陸が死んじゃう…」

頭では解っているのに、身体が思うように動いてくれない。

足に力が入らず、手はがたがたと震えている。

「…晴……」

陸のか細い声にもう一度名を呼ばれ、晴海はびくりと動作を止めた。

酷く取り乱した顔をしているであろう晴海をじっと見つめて、陸は申し訳なさそうに眉を顰めた。