話しながら歩いているうちに、商店街を抜けて広場に出た。

広場の中心には噴水の設置された池があって、眩しい日射しの中で遊ぶ親子連れの姿も多い。

「晴、あれ。水が出てるやつ、何?」

「あれは、噴水っていうの」

いつの間にか、こんな遣り取りにも慣れてきてしまった。

「へえ…光が水に反射してて、綺麗だね」

「うん。みんな、気持ち良さそう」

折角だから此処で少しゆっくりして行こうかと陸に告げようとした、瞬間。

「……っ!!」

陸が突然、左腕の傷の辺りを掻き抱くように押さえ付けた。

「…陸?」

陸の顔色はまるで、倒れたときのように真っ青だった。

「陸?!どうしたの、腕が痛いの?」

しかし陸は首を振って見せるだけで、何も答えなかった。

「陸、本当に大丈夫?顔色、凄く悪いよ…!今から陸の怪我を診てくれた先生のところ行こう?あの先生なら…」

「駄目だっ…」

陸は振り絞るように苦しげな声を上げると、よろりと晴海の傍から数歩離れた。

「陸っ?」