いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「――二人だけで月虹に乗り込むだと?!」

京の報告を受けて、周は勢い良く椅子から立ち上がった。

その弾みで、仕事机に積まれていた書類がばさばさと床に崩れ落ちる。

「周様」

「おわ、悪ぃ」

書類を拾い上げる美月に多少恨めしげな視線で咎められ、周はすとんと椅子に座り直す。

晴海は慌てて書類拾いを手伝おうと屈み込んだが、美月から「結構ですわ」と冷たく断られた。

「…危険なのは解ってるよ。けどもし父さんが僕だったら僕と同じこと考えるだろ」

「……」

「しかも父さんなら、誰にも相談すらせずにもう突っ込んでってるところだよね」

「……………」

「今だって、本当は居ても立ってもいられない」

「…お前、俺の心読めたっけ」

「父さんの単純思考なんてお見通しだよ」

「……」

「だって僕は父さんの息子だもの」

周は困ったように肩を落とすと、髪を乱雑に掻き混ぜて溜め息を漏らした。

「…だから、行かせてくれるよね?」