いとしいこどもたちに祝福を【前編】

すると今まで傍で会話の遣り取りを見守っていた霊媒師たちが動揺した様子で口を開いた。

「この双子の証言を元に、薄暮の領主を追及されるおつもりですか?しかし…」

「いや。あの領主のことだ、どうせ話を持ち掛けたところで白を切り通されるだけだよ」

「では…もしや月虹に潜入なさるおつもりでは?!」

「そうだよ」

狼狽する二人組の糾弾に、京はさらりと抑揚なく答えた。

「なりません!月虹への潜入なら我々、配下の霊媒師たちにお任せくださいませ!」

「他の誰かに任せる訳にはいかないよ。多人数じゃすぐに見付かるだろうから、護衛も必要ない」

「しかし…!陸様を再び連れ去られ、その上もし京様にまで万一のことがあれば…っ周様や愛梨様がどれだけ悲しまれることか!!」

周たちの名を耳にした瞬間、京は少し気持ちが揺らいだように目を細めたがすぐ首を振った。

「…解ってるよ。けど父さんは、本当なら自分が陸を迎えに行ってやりたいんだ。だったらせめて、僕が父さんの代わりに行かないと」

一国の領主である周には、そう簡単に自分の勝手で行動することが出来ない――それが他国との衝突に繋がる可能性を孕むならば尚のこと。

「何も奇襲を掛けに行く訳じゃないんだ。それに僕一人なら…もし何かあったとしても、父さんやこの国が不利になるような事態には絶対させない」

「京様…!」

その言葉から京の意志が固いことを察した二人は、苦渋の表情を浮かべたまま閉口した。

「大丈夫、僕には…僕の家族がついてるからね」

京は、自身の家族のためなら何物も恐れない確固たる意思を持っている。

彼が何故こんなにも揺るがないのか、理解し難いようで切に羨ましくもあった。