いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「ということは、向こうは晴海ちゃんのこともまた狙いに来るってことかい」

「それは…風弓の処分次第だ。あいつは今、陸を見逃した裏切り者として捕縛されてる」

「もし、風弓が月虹にとって役立たずと見なされたら…代替の水の能力者が必要になる」

月虹にとって、重大な役割を果たしていたらしい父ですら、いとも簡単に殺した連中のことだ。

このままでは風弓の命も容赦なく奪われるだろう。

だから、陸はそれを止めようと――

「おれたち…戻って風弓を助けてやりたいよ」

「あたしらなら月虹に簡単に潜入出来るし…」

「いいや、君たちはもう戻らないほうがいい。こんな言い方で申し訳ないけれど、もし君たちがまた囚われてしまったら、折角削いだ月虹の戦力を取り戻させることになる」

京の言葉に、二人は悔しげに眉を顰めて俯いた。

「…有難う、二人共。弟のことを気遣ってくれて」

自分の知らない四年の間、風弓がどんな想いで月虹に身を置いていたのか自分は知らない。

でも、こうして風弓のことを案じてくれる人物がいることを知ることが出来て嬉しかった。

「…大丈夫だ。陸も、風弓くんのことも、これ以上奴らの好きにはさせない」

不意に、平時よりも低い声色で呟いた京を振り向くと、その空色の眼には鋭い色が宿っていた。

「…京さん?」

「いい加減、やられっぱなしって訳にもいかないからね」

「――京様、まさか」