いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「あんたは能力者じゃないんだな」

「片方だけ能力者なんて珍しいね」

――そう、自分だけ何の力も持たず、何の役にも立てず。

そのために、何も知らずにこれまで生きてきた。

そのせいで、風弓だけに全てを背負わせてずっと生きていた。

「うん…おんなじ双子なのにね。私も風弓と一緒だったら良かったのに」

陸は能力なんてなくていいと言ってくれたけれど。

自分の無力さがこんなにも悔しい。

「おれたちは、二人一緒なら何処に行ってもいい」

「それが、あたしたちが月虹に従ったときの要望」

「でも風弓は違う。あいつは、あんたを月虹なんかに絶対利用されたくないって言ってた」

「あんたを守るんだって、そう言ってた。だからてっきりあんたも能力者だと思ったのに」

「私、を…?」

「現に月虹の奴らは、あんたも風弓の片割れだから能力者だと思い込んでる」

「だから今回の春雷襲撃に乗じて、あんたも月虹に連れ去る予定だったんだ」

「晴海ちゃんを月虹に…?!しかし情けない話だが、今回それはやろうと思えば可能な状況だった筈だ」

そうだ、現に香也は誰にも気付かれずに邸から自分を連れ出している。

だが香也は、自分を単なる“陸を邸から誘き出すための人質”としか見なしていなかった。