「才臥は、何ていうか…あの月虹の施設の中で唯一、らしくない大人だったから」
「一言で言うなら…うん、優しかったよ。口調とか、表情は元より雰囲気自体が」
「…!」
月虹に協力していたとはいえ、父は自分の知る父のままだったようで――それが妙に嬉しかった。
「記憶が戻った今なら、あの施設の中で才臥が一番まともな奴だったってはっきり言える」
「そのせいか陸も才臥と一緒にいるときだけは、いつもより少し楽しそうに見えたんだよ」
「…そうか。才臥さんは陸の心の拠り所になってくれていたんだね」
「でも、何で才臥が突然陸を月虹から逃がしたのかは解らないままなんだ」
「実の息子の風弓すら。だから風弓は酷く苦しんで奴らに惑わされたんだ」
――風弓は、昔から少し感情的なところはあるけれど、家族想いで優しくて、間違ったことが嫌いな性格だった。
炎夏での襲撃に至ったまでの間に、自分が想像している以上に風弓は苦悩していたに違いない。
そんな風弓の苦しみまで、月虹は陸を取り戻すための策に利用したのか。
「なあ、あんたさ」
「風弓の、片割れ」
ふと声を掛けられ、晴海は数歩、二人に歩み寄った。
「おれたち、風弓とは結構仲が良かったんだ」
「風弓はあたしたちと同じ、双子だったから」
「そう、なんだね……有難う」
「一言で言うなら…うん、優しかったよ。口調とか、表情は元より雰囲気自体が」
「…!」
月虹に協力していたとはいえ、父は自分の知る父のままだったようで――それが妙に嬉しかった。
「記憶が戻った今なら、あの施設の中で才臥が一番まともな奴だったってはっきり言える」
「そのせいか陸も才臥と一緒にいるときだけは、いつもより少し楽しそうに見えたんだよ」
「…そうか。才臥さんは陸の心の拠り所になってくれていたんだね」
「でも、何で才臥が突然陸を月虹から逃がしたのかは解らないままなんだ」
「実の息子の風弓すら。だから風弓は酷く苦しんで奴らに惑わされたんだ」
――風弓は、昔から少し感情的なところはあるけれど、家族想いで優しくて、間違ったことが嫌いな性格だった。
炎夏での襲撃に至ったまでの間に、自分が想像している以上に風弓は苦悩していたに違いない。
そんな風弓の苦しみまで、月虹は陸を取り戻すための策に利用したのか。
「なあ、あんたさ」
「風弓の、片割れ」
ふと声を掛けられ、晴海は数歩、二人に歩み寄った。
「おれたち、風弓とは結構仲が良かったんだ」
「風弓はあたしたちと同じ、双子だったから」
「そう、なんだね……有難う」


