いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「…因みに陸は殆ど軟禁状態だと言ったね。香也くんや、君たちは違ったのかい?」

「俺たち普通の能力者は、施設の中なら自由に歩き回れた」

「香也はまた別。施設の外にも出入りが出来てたみたいだ」

陸とはまた逆の意味で特別扱い、という訳なのか。

香也の言っていた「自分の意思で協力している」ということも関係するのだろうか。

「弟は…これまで月虹ではどんな様子だったんだい」

陸から月虹での話は聞いている筈だが、やはり客観的な話題が気に掛かるのか、ふと京は二人にそう訊ねていた。

「陸の部屋に出入りが出来たのは、才臥と月虹の所長である如月だけだ」

「陸が姿を見せるのは、能力の試験演習で手合わせするときだけだった」

「月虹でのあいつは…異様な程強いくせに何をするときも無感情で、得体の知れないやつだと思ってた」

「髪も随分長かったし…だから春雷で再会したときはまるで別人みたいだったから、内心驚いてたんだ」

確か、雪乃も似たようなことを言っていた。

『陸がそんなこと言う訳ないじゃない、陸はずっと月虹の言いなりのお人形さんだったんだから』

行動の自由を奪われ、他人との接触を制限されていたのだ、それを思うと出逢った当初の陸の様子にも納得が行く。

「…けど、陸も才臥と接するときだけは少し様子が違ってたんだ」

「ていうか…才臥が他の研究員たちと違った、ってのもあるけど」

「……父さん、が?」

思わず声を上げると、茜と葵に再び注視された。