いとしいこどもたちに祝福を【前編】

陸は殆ど軟禁状態だった――

第三者から見た月虹での陸の話題を耳にして、思わずどきりとする。

それに、父は医療班ではないなら一体月虹で何をしていたと言うのか。

「才臥は、陸と香也の特殊能力の管理と解析を一任されていたんだ」

「あの二人の体質を解明すれば、月虹の計画は一気に発展するから」

陸と香也の能力を解明――そんな重大な役目を本来は医者である父に任せるだなんて。

いくら昨夜周から聞いたように、父が能力者の研究で有名になったからと言っても、話が飛躍し過ぎではなかろうか。

「成程ね。それで彼の解析がどの程度まで進んでいたのかは知っているかい?」

京からの質問に、二人は頷いた。

「元々固有の精霊が宿った能力者の力を強化するのは、比較的簡単らしい」

「でも二つ目の属性を人為的に体内に宿そうとすると、拒絶反応が起きる」

「その拒絶反応を起こさずにいられる能力者は、陸と香也だけなんだ」

「でも二人が元々の精霊以外を宿していられるのも、一定の時間だけ」

「表向きには、それは月虹全体での研究成果ってことになってるけど」

「実際には、殆ど才臥一人が解明したことで周りは補佐しかしてない」

父が一人でそんな小難しいことを解明させただなんて、やはり信じ難い。

しかしそれが可能だと見込まれていたからこそ、父は月虹に必要とされていたことになるのか。