いとしいこどもたちに祝福を【前編】

雪乃が悲しげに言い放った瞬間、頭上から稲妻が降り注いだ。

「ちっ…!」

直撃は免れたものの、避け切れなかった右足に少し食らったらしく僅かに痺れが走る。

「雪乃、やめろ!俺はお前たちと争いに来た訳じゃないんだ!」

月虹に利用されている彼らには、極力傷付けたくない。

もしも何かの切っ掛けで、風弓と同じく洗脳が解ければ争う必要もなくなる。

「そういえば、陸の風も雷を喚ぶよね?あたしの喚ぶ雷とは性質が違うけど…あはっ、お揃いだね!」

「雪乃っ…」

「でも、雷の扱いはあたしのほうが得意だよぉ?」

言うが早いか、先程のそれよりも強力な稲妻が幾重にも降り注ぐ。

それを避けようとした瞬間、視界の端で何かが動いた。

「…おかあさん、どこぉ…?」

それは、泣きじゃくる幼い女の子だった。

母親とはぐれて逃げ遅れたのだろうか、人の声がするほうにやって来てしまったらしい。

――駄目だ、このまま避けたらあの子が巻き込まれてしまう。

彼女のいる範囲にまで防壁を張るには時間が掛かる、今からでは間に合わない。

陸は咄嗟にその傍へ駆け寄り、注ぐ電流の渦から少女を守るように両手を広げた。

「っつ…!!」