いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「気配を、消す…?そんな芸当、霊媒師じゃあるまいし、どれだけ強い能力者でも出来る筈…」

「事情は後で説明する、今は早くあいつらから晴を取り戻さないと…!!」

咄嗟に窓から身を乗り出そうとすると、夕夏に腕を掴まれて引き留められた。

「待って陸…!行ったら駄目だ!!彼らは君を捕まえるのが目的なんだよ、あの爆発は君を誘き寄せるための罠だ!!」

「罠でもいいっ!晴には絶対に、手出しさせない…!けど父さんの大事な街を、これ以上壊される訳にも行かないんだ!!」

夕夏の制止を振り切って、陸は窓から門扉に続く石畳の上へと飛び降りた。

「陸っ!!」

着地の寸前、足元へ風を起こして衝撃を和らげた。

久々に力を使ったが、感覚は余り鈍っていなかったようで安堵する。

意を決して駆け出すと、邸の門前に立っていた警備員二人がこちらに気が付いた。

「!陸様、どちらへ?!」

「っ兄さんと父さんに伝えて…!俺が奴等を止めるって!!」

引き留めようとする警備員らの動きを擦り抜けながら、陸はそう告げた。

「いけません陸様、危険ですからお戻りください!!」

制止する声に心中でごめん、と呟きながら、陸は街へと走った。

――街ではあちこちから火の手や煙が上がっているが、既に避難を始めたのか人の姿は余り見えない。

「今一番近くにいるのはっ…」

次の瞬間、眼前の家屋が地面から生えた巨大な樹の根に破壊された。