いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「え…」

「入っておいで、陸。様子が変だ」

促されて部屋の中に足を踏み入れたその途端、爪先に何かが引っ掛かった。

「わ、何だ?…紙袋?」

足元にいくつか落ちている手提げの紙袋を、拾い上げて傍にあった椅子の上に乗せる。

「それ、さっき一緒に買った服が入ってるんだ。で…こっちは窓が開いてる」

「窓?」

開け放たれた窓の縁に、夕夏は両手を付いた。

窓からは街の様子が一望出来る。

夕闇の中に、街の灯が煌めき始めているのが見えた。

「今朝、晴海と部屋を出るときはちゃんと閉まってたんだよね。鍵まで掛かってたのかは分からないけど…」

誰かが窓から侵入したのか――しかし邸の警備は当然厳重だし、そもそも此処は六階だ。

「能力者でもなけりゃ、此処から入り込んで晴海を連れ去るなんて無理だけど…それなら陸や京さんたちが気配に気付くよね…?」

――まさか。

「っ能力者、じゃない…?」

気配に気付けなかった、その点について一つ、思い当たることがある。

「…陸?」

――そのとき、大きな爆発音が街の方角から轟いた。