いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「…陸、何やってんの?」

すると、隣室に入ろうとしていた夕夏に見付かり、怪訝そうな顔をされてしまった。

「夕夏、晴がいない……返事がしないんだ」

「え…いないの?」

「悪いんだけどさ…ちょっと中の様子、見てきて貰える?」

「うん。いいけど、何で自分で行かないの?」

さらりと承諾してくれながら、尤もな質問を投げ掛けられる。

「いや、それは……もしかしたらまだ着替えの途中なのかも知れないだろ」

「ああ。そっか」

実は炎夏にいた頃、才臥家の浴室で一度鉢合わせしてしまった前科がある、とは恥ずかしくて言えなかった。

「じゃあ私が先に入って、大丈夫そうなら陸のこと呼ぶよ」

「うん、お願いするよ」

陸の傍を擦り抜けて、夕夏が晴海の部屋へ入って行く。

「…晴海?」

その呼び掛けに応じる物音や声は、やはり特に聞こえない。

「夕夏、どう?」

陸は部屋に入らず、扉の向こう側から夕夏に恐る恐る訊ねてみた。

「……いない」