いとしいこどもたちに祝福を【前編】

ふと視線を落とすと、眼下に見える玄関口から晴海や夕夏の話し声が聞こえてくる――三人が帰ってきたらしい。

皆を出迎えるため、陸は窓を閉めて玄関へと向かった。



「――お帰り、みんな」

玄関広間を見下ろせる階段の手摺から身を乗り出すと、夕夏がこちらに向かって大きく手を振ったのが見えた。

「陸」

すると、夕夏のすぐ傍に荷物持ちをさせられている賢夜の姿はあるものの、晴海の姿が見えない。

「あれ、晴は?さっき声は聞こえたんだけど」

「あ、君が部屋に来るからって言って急いで部屋に戻ってっちゃったんだよ。ちょうど今、君と入れ違いにさ」

「急いで?そんなに慌てなくても良かったのに」

「いやあ、あの子に似合う可愛い服を幾つか選んだから、早速君に着て見せてやれって言ったんだ。だから走ってったのよ」

夕夏はまるで自分のことのように楽しそうに報告してくれた。

妹が欲しかったらしいから、きっと晴海と一緒に色々な店を回れて嬉しかったのだろう。

「そっか。楽しみだな」

女装の標的にされたときはどうなることかと思ったが、晴海ならば夕夏の期待に問題なく応えられる性別と容姿の持ち主なので安心だ。

「そろそろ着替え、終わる頃じゃない?行ってきたら?」

「うん、そうする」

「陸」