いとしいこどもたちに祝福を【前編】

浮いた話題が好きそうな夕夏ならともかく、賢夜が何故そんな話を陸とするのだろう。

「姉さんに言われたからじゃないよ。俺がそうしたかったんだ」

「…何で?」

暫しの沈黙の後、賢夜は苦笑しながら晴海の頭を軽く撫でた。

「……さあ、何でかな」

「賢夜、ちゃんと答えてっ?」

少々恨めしげに賢夜の双眸を見上げると、賢夜は小さく首を傾げてもう一度笑った。

「姉さんも俺も、君や陸のことが心配なんだ。何だか世話の焼ける妹や弟みたいでな。ま…陸は俺と同い年だけど」

「晴海!賢!何やってんのっ?」

「姉さんが呼んでる、行こう」

少し強引に腕を掴まれたかと思うと、そのまま賢夜は晴海の手を引いて走り出した。

世話の焼ける、妹――

以前に「優しいお兄ちゃんみたい」と告げたことを踏まえてそう言ってくれたのだろうか。

賢夜は、本当に兄のように優しい。

本来なら本物の弟に、早くそうしてあげたいだろうに。

せめて慶夜が、早く二人の元に帰って来れるようにと、晴海は強く願った。


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