すると周は京の胸元をぽすんと叩いて、陸の目の前まで歩み寄るとその場に屈み込んだ。
周にじっと顔を覗き込まれて、陸はびくりと身構える。
「…何が、不安だ?何が、お前を頑なにさせる」
膝の上で震えている陸の両手を、周の手が少し強引に掴んだ。
「陸」
「――ど…して……」
漸く口を開いた陸の声は、手と同じくらい震えていた。
「どうして…俺を疑わないん、ですか」
周は僅かに表情を曇らせながらも、何も言わず陸を見据えた。
おずおずと周の様子を伺いつつ、陸は言葉を続ける。
「俺は…貴方たちの陸だと偽るため現れた、別人かも知れない。現に俺は…自分が陸だって証拠も記憶も、証明出来るものを何一つ持ってないっ…」
「…偽者は自分からそんなこと言い出さないと思うがなあ」
困ったように首を傾げて笑う周に、陸は力一杯首を振って見せた。
「たとえ俺が望まなくてもっ…月虹が貴方を陥れようと、俺の姿を貴方の息子に似せたのかも知れない…!!」
――そうだ。
陸の様子がおかしくなったのは、船で薄暮が春雷を狙っているという話が出たときからだ。
月虹が作られた目的は、薄暮の侵略計画のため――
陸は以前から、自身が併せ持つ二つの力の不自然さに大きな不安を抱いていた。
周にじっと顔を覗き込まれて、陸はびくりと身構える。
「…何が、不安だ?何が、お前を頑なにさせる」
膝の上で震えている陸の両手を、周の手が少し強引に掴んだ。
「陸」
「――ど…して……」
漸く口を開いた陸の声は、手と同じくらい震えていた。
「どうして…俺を疑わないん、ですか」
周は僅かに表情を曇らせながらも、何も言わず陸を見据えた。
おずおずと周の様子を伺いつつ、陸は言葉を続ける。
「俺は…貴方たちの陸だと偽るため現れた、別人かも知れない。現に俺は…自分が陸だって証拠も記憶も、証明出来るものを何一つ持ってないっ…」
「…偽者は自分からそんなこと言い出さないと思うがなあ」
困ったように首を傾げて笑う周に、陸は力一杯首を振って見せた。
「たとえ俺が望まなくてもっ…月虹が貴方を陥れようと、俺の姿を貴方の息子に似せたのかも知れない…!!」
――そうだ。
陸の様子がおかしくなったのは、船で薄暮が春雷を狙っているという話が出たときからだ。
月虹が作られた目的は、薄暮の侵略計画のため――
陸は以前から、自身が併せ持つ二つの力の不自然さに大きな不安を抱いていた。


