「薄暮が次に狙ってるのも、春雷じゃないかって噂もあるし…あの国は春雷に対して前科もあることだし」
夕夏の言う“前科”とは何かと訊ねようとしたそのとき、傍らの陸の様子が少しおかしいことに気が付いた。
「…陸、どうしたの?」
「え…――いや、何でもない」
そう本人は言うが、どうも顔色が優れないように見える。
「だって陸…顔が真っ青だよ」
「まだ身体の調子が良くないんじゃない?元々酷い怪我だったのに、あの馬鹿が余計悪化させたからつらいでしょ」
夕夏も心配して、俯く陸の顔を覗き込んだ。
「いや、大丈夫…」
「今更船酔いってことでもないだろうし…春雷に着いたら一度医者に診て貰おうか」
「――そうだな、君は痛みを我慢する癖がついてるようだし」
「うわっ!賢、いつの間に起きたの」
今さっき、と答えながら賢夜は眠たそうに頭を掻いた。
「陸、君が無理すると晴海が一番心配するんだ。余り不安にさせるなよ」
「賢夜」
賢夜にやんわりと咎められ、陸は観念したように頷いた。
「うっ…うん……そう、だよな」
しかし具合が悪そうというより、何というか――違うように見える気がする。
夕夏の言う“前科”とは何かと訊ねようとしたそのとき、傍らの陸の様子が少しおかしいことに気が付いた。
「…陸、どうしたの?」
「え…――いや、何でもない」
そう本人は言うが、どうも顔色が優れないように見える。
「だって陸…顔が真っ青だよ」
「まだ身体の調子が良くないんじゃない?元々酷い怪我だったのに、あの馬鹿が余計悪化させたからつらいでしょ」
夕夏も心配して、俯く陸の顔を覗き込んだ。
「いや、大丈夫…」
「今更船酔いってことでもないだろうし…春雷に着いたら一度医者に診て貰おうか」
「――そうだな、君は痛みを我慢する癖がついてるようだし」
「うわっ!賢、いつの間に起きたの」
今さっき、と答えながら賢夜は眠たそうに頭を掻いた。
「陸、君が無理すると晴海が一番心配するんだ。余り不安にさせるなよ」
「賢夜」
賢夜にやんわりと咎められ、陸は観念したように頷いた。
「うっ…うん……そう、だよな」
しかし具合が悪そうというより、何というか――違うように見える気がする。


