「ううん、今起きたところ…俺、いつの間にか寝てたのか」
眠る直前のことは覚えていないのだろうか。
いいや、寧ろ忘れてくれたほうがいい――再確認されたらきっと、恥ずかしくてまた動揺してしまう。
「…いっぱい、眠れた?」
「うん」
「髪、寝癖ついてるよ。直してあげる」
先のことはどうなるのか、全く分からない。
だったら今は、こうして傍にいられる時間を大切にしたい。
もし何か変化を起こして、この時間を壊してしまうくらいなら――
「…陸くんは、まるで小さな子供みたいだね」
「え?」
晴海と陸には聞こえない程度の声量で、日野が夕夏に囁いた。
「時折、母親に縋り付く子供のようになるんだよ。だから晴海ちゃんは、彼が心配で仕方ない」
「確かに…晴海以外にあんな甘えてるみたいな態度は見せないね」
「強ち、晴海ちゃんの言うことも間違ってないんだ。彼はあの子に、良くも悪くも一番気を許してる。それが異性としてなのか否かが解らんから、晴海ちゃんは不安なんだろう」
「…今はそれをはっきりさせなくても、いいの?」
「焦らず、見守ってあげれば良いじゃないか。あの子たちは漸く、炎夏にいた頃の障害から解放されたばかりなんだ」
優しく微笑んだ日野の言葉に、夕夏はただ黙ってゆっくりと頷いた。
眠る直前のことは覚えていないのだろうか。
いいや、寧ろ忘れてくれたほうがいい――再確認されたらきっと、恥ずかしくてまた動揺してしまう。
「…いっぱい、眠れた?」
「うん」
「髪、寝癖ついてるよ。直してあげる」
先のことはどうなるのか、全く分からない。
だったら今は、こうして傍にいられる時間を大切にしたい。
もし何か変化を起こして、この時間を壊してしまうくらいなら――
「…陸くんは、まるで小さな子供みたいだね」
「え?」
晴海と陸には聞こえない程度の声量で、日野が夕夏に囁いた。
「時折、母親に縋り付く子供のようになるんだよ。だから晴海ちゃんは、彼が心配で仕方ない」
「確かに…晴海以外にあんな甘えてるみたいな態度は見せないね」
「強ち、晴海ちゃんの言うことも間違ってないんだ。彼はあの子に、良くも悪くも一番気を許してる。それが異性としてなのか否かが解らんから、晴海ちゃんは不安なんだろう」
「…今はそれをはっきりさせなくても、いいの?」
「焦らず、見守ってあげれば良いじゃないか。あの子たちは漸く、炎夏にいた頃の障害から解放されたばかりなんだ」
優しく微笑んだ日野の言葉に、夕夏はただ黙ってゆっくりと頷いた。


