いとしいこどもたちに祝福を【前編】

「…姉さんは、慶夜を見付ける手掛かりが何も見付からなくてずっと苛立ってたんだ。炎夏に戻って来たのも、実はもう弟のことは諦めかけてたからだよ」

「そう…だったんだ」

「あんな風に楽しそうな顔も、君のことを話すときに嬉しそうな顔も、俺一人じゃ到底させてやれなかった」

夕夏にはいつも元気付けられてばかりだと、思っていた。

して貰ってばかりで、何も返すことはしていないと思っていたけど――

「姉さんが笑ってると、俺も嬉しい」

自分にも二人に出来ることがあるなんて、思いもよらなかった。

「…私も陸の女の子の格好、ちょっと見てみたいって気がしたの」

だから心の中で陸に謝罪しつつ、賢夜の最初の問い掛けにそう返答した。

「…有難う、晴海」

すると賢夜は嬉しそうに笑ってくれた。


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