「わたし、塾に行くことにしたから」

 すっかり、定着した感のある四人での帰り道。

 わたしは唐突に話を切り出した。

 中学に入学する前から考えていたことで、すぐにも実行したかったのだけど、
 緋色のことが心配で、ずっと先送りにしていたのよ。

 今なら、藤井も佐々田もいるから、帰りも安心だし。

 こういう時、1対1でないことはラッキーよね。

 変な心配はしなくていい。

 大丈夫でしょう? きっと。


「急にどうしたの? 里花ちゃん」

 緋色の顔が曇り、不安げに瞳が揺れる。

 滅多に見せないそんな表情をされると、
 心がちくりと痛い。

 憂い顔はやめてね。


 かわいいけど。
 やっぱりやーめたって言いそうになるから。

「そろそろね、真剣に勉強しなくちゃって、思うのよ」

「だったら、わたしも行く」

 案の定、緋色が言い出した。



 藤井と佐々田は黙って聞いている。