ぱらりと本のページをめくる。

 誰に声をかけられることのない静かな時間。
 隣には緋色がいる。

 こちらを伺う視線は感じるけれど、
 話しかけてくる男子達はいない。

 学校の図書室。私語禁止が当たり前であるけれど、
 ここに来るまで話しかけられることはなかった。

 あの日以来、格段に誘いが減った。

 彼らと出掛けた事はすぐに伝わったらしく、
 真偽を確かめに来る男子もいた。

 わたしは、たまに見かける藤井と佐々田と話をし、
 仲の良さをアピールした。

 今までにないわたしたちの行動は、
 男子達からすると晴天の霹靂で
 信じられないような出来事だったに違いない。

 特定の仲の良い男子を作らなかった緋色が、
 藤井と佐々田だけには違うと。
 そう思わせることに成功したみたい。


 注目されることは仕方ない。

 特別にかわいい親友をもってしまったが故、
 このことは甘んじて受けようと思う。