「だから誤解よ」

「何がよ」

 女子達がさらに詰め寄ろうとするのを、
 わたしは体を張って柔らかにそれを制する。

 みんな殺気だってるし。

 そんな性格じゃあ、藤井や佐々田に嫌われるよ。

 こいつ等には言わないけどね。

「昨日言われたのは、わたしたちを送っていくってことだけよ。
 そのほかは何にも言われていないし。
 わたしたちだって、女の子二人じゃ夜道は怖いしね」


「でも、送っていくってことは、
 桜木さんのこと好きってことじゃないの?」

 告白されたわけでもなく、
 その思いに答えたわけでもない。

「もう一度言うわよ。
 藤井君と佐々田君はわたしたちを送っていくって
 言っただけよ。それだけ」

 わたしは彼女達の顔を一人一人見ながら、
 ゆっくりと穏やかな口調で話した。




 それは紛れもなく事実。


 それ以上でもそれ以下でもない。