「緋色が誰を好きになったと思っているのかしら?」

「それを今から聞くんじゃないの」

 ムッとした表情で返された。

 うあ! 吊るし上げ? 

 この調子じゃ、緋色、泣かされるかも。

 たかが十二、三歳でも、女の嫉妬ってこわい。



 まわりを見渡すと、
 一年生の半数くらいはかかわりたくないとばかりに
 隅の方でこちらを見ているし、

 上級生達もこちらを気にしながら
 顔をしかめている。


 だからといって止めに入る気配はない。


 逆にとばっちりを受けたくないのだろう。

 中にはニヤニヤと嗤ってそれみたことかと
 面白そうに見ている上級生もいる。


 性格わるっ!



 早々に切り上げなくちゃね。



 緋色のためにも――――